インフラ/ネットワークエンジニアのためのネットワーク・デザインパターン 実務で使えるネットワーク構成の最適解27を読んだ

前作であるインフラ/ネットワークエンジニアのためのネットワーク技術&設計入門を読んでから、少し間が空いてしまいましたが、続編となるインフラ/ネットワークエンジニアのためのネットワーク・デザインパターン 実務で使えるネットワーク構成の最適解27 - みやた ひろしを読みました。

感想

まず、読んでいて一番の感想は、本自体の構成も設計されている ということです。 ネットワークを設計するにあたって、ネットワークを以下の4つに分類し、それぞれについて述べる形で整理された構成となっています。

  • Trustゾーン
  • Untrustゾーン
  • DMZゾーン1
  • WANゾーン

さらに各ゾーンを大中小の3規模にわけ、それぞれ2つずつデザインパターンを述べる構成となってています。 各ゾーンの説明が小さい順に記載されており、設計の考え方自体は一貫しているので、大規模ネットワークになっても理解しやすかったです。

さらに各節の中でも項目が一貫しており、以下のようになっています。

  • 物理構成、論理構成
  • 機器構成設計、物理構成設計、VLAN設計、IPアドレス設計、ルーティング設計
  • 障害設計
  • 運用設計

これに加えて各構成で独自に必要な設計(負荷分散設計やSTP設計など)は個別に述べられています。

各構成で考え方が一貫している一方で、同じ話が何度か登場します。 内容が重複してしまうのは一長一短ですが、個人的には、何回も同じトピックが出るので理解が染み込んでくる点、あとで読み返す際にその節だけ読めばいい点で、丁度よいと感じました。

個人的にヒットしたところ

LAGを使ってSTP構成を組む場合に、物理ポート障害が発生するとSTPの再計算となる話が載っています。
STPの仕組みとしてコストがあり、このコストに応じてL2ループが発生しないようになっていることはわかっていたのですが、障害時に余計な再計算をさせないように値を設定する、といった意識できていなかった話が載っており、学びが多かったです。

こういう人におすすめ

ネットワーク設計に多少の経験があるので、デザインパターンを体系的に整理したいという方におすすめです。

一方で、OSPFやBGP、IPsecなど各種の設定で注意すべき設定などは書かれているものの基本的な仕組みなどの記載は少ないので、ネットワーク技術の知識に不安がある場合は、本書の前に前作のインフラ/ネットワークエンジニアのためのネットワーク技術&設計入門を読むのがいいと思います。

どちらも構成がわかりやすいのと簡潔にまとめられているので数日あれば十分読めると思います。 本書に関しては、ページを捲る手が止まらず実質2日くらいで読み切ってしまいました。

インフラ/ネットワークエンジニアのためのネットワーク・デザインパターン 実務で使えるネットワーク構成の最適解27 - みやた ひろし

いつもはkindle派な自分ですが、データフローを正常時と障害時で見比べたりしながら読むと理解が深まるので紙の書籍がおすすめです。


  1. 余談ですが、よくDMZゾーンって言葉を耳にするときに、頭痛が痛いになってるなぁと思っていたのですが、本書ではわかりやすさを優先し、DMZゾーンと記載すると書いてあり、すっきりしました。